2025年3月4日更新しました!

 

ここでは、相続した土地を売却したときには、どれくらいの税金ががかるのか。
相続した土地を売却したときに、知っておくべき税務上の特例には、どんなものがあるのか。
について、ご説明したいと思います。

1.譲渡所得
(1)譲渡所得とは
(2)譲渡収入
(3)取得費
①通常の場合
②取得費が不明な場合
③取得費加算の特例
(4)譲渡費用

2.居住用財産の軽減税率の特例

3.居住用財産の特別控除の特例

4.空き家譲渡の特例

5.まとめ

1.譲渡所得

(1)譲渡所得とは

親から相続した土地を売却した場合には、原則として、確定申告をする必要があります。
土地を売った所得は、「譲渡所得」という所得区分で申告することになります。

「譲渡所得」の計算方法は、
譲渡収入-取得費-譲渡費用=譲渡所得 となります。
この譲渡所得がマイナスの場合、つまり譲渡収入より取得費と譲渡費用の方が大きくて赤字だった
という場合は申告の必要はありません。

税率は、
長期譲渡所得(所有期間5年超)短期譲渡所得(所有期間5年以下)とで違っていて、
長期譲渡所得だと、
所得税15.315%(復興特別所得税含む)住民税5%計20.315%
短期譲渡所得だと、
所得税30.63%(復興特別所得税含む)住民税9%計39.63%
となっています。

短期譲渡所得だと
長期譲渡所得の約2倍の税率
というわけですね。

ここでいう「所有期間5年」というのは、取得した日から売却した日までの期間ではなく、
売却した年の1月1日までの期間ですので注意してください。

例えば2017年5月20日に買った土地を2022年6月1日に売却した場合でしたら、
買ってから売却までは5年超ですが、
売却した年の1月1日つまり2022年1月1日までの期間は、5年たっていませんから、
5年以下の短期譲渡所得 となって、39.63%の税金がかかってきます。
税

譲渡所得を計算するとき、親から相続した土地の取得時期は、親が取得した時期を引き継ぐことになります。

つまり、長期譲渡所得か短期譲渡所得か(5年超か5年以下か)というのは、
自分が相続してからの所有期間ではなく、
親(被相続人)がその土地を取得した時から、相続人が売却した年の1月1日までの所有期間で判定します。

ほとんどの場合「長期譲渡所得」になるかと思いますが、その場合、
所得税15.315%(復興特別所得税を含む)と住民税5%の税金がかかるということになります。

売却した翌年3月15日までに、税務署に確定申告書を提出して所得税等15.315%を納付します。
5%の住民税は、売却した翌年度の住民税に上乗せされます。

確定申告では、土地を売却した「譲渡所得」のみについて申告するのではなく、
会社員の方の給与収入、年金受給者の方の年金収入 というように、
その人に他に所得があれば、それも併せて申告することになります。

確定申告用紙

では、譲渡所得の計算式にある「譲渡収入」「取得費」「譲渡費用」について確認しましょう。

(2)譲渡収入

土地の譲渡所得の収入金額は、土地を売ったことによって、買主から受け取る金銭の額です。

買主が売主に固定資産税分を支払った場合には、その金額も譲渡収入に含まれます。

固定資産税分とは
譲渡代金のほかに、譲渡から年末までの期間に対応する固定資産税の受け渡しが行われることがよくあります。
売買をした年の1年分の固定資産税を市区町村に支払うのは売主なので、例えば7月に土地の売買があったとしたら、7月から12月末までの期間に対応する固定資産税は、買主が売主に支払う という契約がされたりします。
(4月1日から翌年3月31日を基準に計算されるケースもあります。)
この場合の、買主が売主に支払った固定資産税相当額というのは、譲渡収入に含めて計算してください。

(3)取得費

①通常の場合

土地を売却した場合の取得費というのは、売った土地の購入金額や購入手数料など、
買ったときに いくらかかったか という金額のことです。

親から相続した土地を売却した時の取得費は、親(被相続人)がその土地を買った時の購入金額購入手数料などを使って計算します。
自分が相続した時の相続税評価額 とかではありません。

土地を相続した時に支払った登録免許税(登記費用含む)は、取得費に含まれます。
(業務用の土地の場合は必要経費となるので、取得費には含まれません。)

例えば、昔、親が1000万円で買った土地を相続して、その相続登記の時に登録免許税(登記費用含む)を20万円支払ったとしたら、この土地の取得費は、1020万円になります。

土盛りなどの造成費用や、土地を買うための借入金の利子のうち、その土地を使用開始する日までの期間に対応する部分の利子なども、取得費に含まれます。

売地のイラスト

②取得費が不明な場合

かなり昔に購入した場合など、取得費が不明という場合もあります。

その場合は、売った金額の5%を取得費として計算することができます。

親から相続した土地が5000万円で売れて、その土地をいくらで買ったのか全く分からないという場合も、取得費0円ではなく、
250万円(5000万円×5%)を取得費として譲渡所得を計算できる ということです。

③取得費加算の特例

相続した土地を相続発生日から3年10ヶ月以内に売却した場合には、
譲渡所得の計算の時の取得費に、その土地にかかった相続税額加算することができます。

譲渡所得の計算は、譲渡収入から取得費と譲渡費用を差し引いて計算しますが、
譲渡収入-取得費-譲渡費用=譲渡所得
相続発生日から3年10ヶ月以内の場合には、売却した土地の分の相続税も差し引いて計算できる ということです。

相続税

取得費に加算できる相続税の金額は、次の算式で計算します。
土地を売った人の相続税額 ×(売った土地の相続税評価額÷土地を売った人の相続税の課税価格

(4)譲渡費用

土地を売却した場合の譲渡費用というのは、土地を売るために直接かかった費のことを言います。

売るために支払った仲介手数料のほか、
土地を売るためにその上の建物を取り壊したときは、その取壊し費用や建物損失額は、譲渡費用になります。

固定資産税などは、その土地を売るために かかった費用ではないので、譲渡費用にはなりません。

2.居住用財産の軽減税率の特例

居住用財産である土地建物を売却した場合で、所有期間が10年を超えているなどの要件に該当すれば、長期譲渡所得の通常の税率(所得税等15.315%住民税5%)よりも低い税率で計算する軽減税率の特例を適用することができます。
納税する男性

適用要件
1.自分が住んでいる家の売却か、家とその敷地の売却であること。

2.売った年の1月1日において、家や敷地の所有期間がどちらも10年を超えていること。
(相続した土地建物であれば、売った年の1月1日において、親(被相続人)が取得してから10年超であればOKです。)

3.以前住んでいた家 という場合は、住まなくなってから3年目の年の12月31日までに売ること。

4.家を取り壊して敷地だけを売却する場合
  ①取り壊した年の1月1日において、家と敷地の所有期間が10年を超えていること。
(相続した土地建物であれば、取り壊した年の1月1日において、親(被相続人)が取得してから10年超であればOKです。)
  ②取り壊してから1年以内に売買契約をし、住まなくなってから3年目の年の12月31日までに売ること。
  ③取り壊してから売買契約をする日まで、貸駐車場などとして利用していないこと。

5.前年、前々年にこの特例の適用を受けていないこと。

6.売った家や敷地について、他の特例の適用を受けていないこと。(「居住用財産の特別控除の特例」とは併用できます。)

7.親族などの関係者に売ったものではないこと。

青い屋根の家

軽減税率は、所得が6000万円までの部分は、
所得税10.21%(復興特別所得税を含む) 住民税4%合計14.21%となり、
6000万円を超える部分は、通常の長期譲渡所得と同じく、
所得税15.315%(復興特別所得税を含む)住民税5%合計20.315%になります。

3.居住用財産の特別控除の特例

居住用財産である土地建物を売却した場合、譲渡所得から3000万円まで控除できる特例があります。

譲渡益が5000万円の場合、5000万円-3000万円=2000万円に対して税金がかかり、
譲渡益が3000万円以下の場合は、税金がかからないということになります。
「控除」と電卓

適用要件
1.自分が住んでいる家の売却か、家とその敷地の売却であること。

2.以前住んでいた家 という場合は、住まなくなってから3年目の年の12月31日までに売ること。

3.家を取り壊して敷地だけを売却する場合
  ①取り壊してから1年以内に売買契約をし、住まなくなってから3年目の年の12月31日までに売ること。
  ②取り壊してから売買契約をする日まで、貸駐車場などとして利用していないこと。

4.前年、前々年にこの特例居住用財産の譲渡損失の特例の適用を受けていないこと。

5.売った家や敷地について、収用等の特別控除他の特例の適用を受けていないこと。
「居住用財産の軽減税率の特例」とは併用できます。)

6.親族などの関係者に売ったものではないこと。

4.空き家譲渡の特例

上記「3.居住用財産の特別控除の特例」は、自分が住んでいる家の売却か、家とその敷地の売却であることが大前提です。

親と同居していた その自宅を相続し、後に売却した という場合は対象になりますが、
別居していた場合には、相続した親の居宅や敷地を売却しても特例は使えませんでした。(自分が住んでいた家ではないので)

平成28年度税制改正において、「空き家問題」への施策の一つとして、
別居していた親の居宅と敷地を相続して売却した場合であっても、本人の居住用財産を売却した場合と同様に
譲渡益から3000万円を控除できる特例「空き家譲渡の特例」が新設されました。

今のところ令和9年12月31日までの時限措置です。

令和5年度税制改正によって、令和6年1月1日以後の売却については、この特例を使う相続人が3人以上である場合 3000万円ではなく2000万円まで とされました。

 

「空家」の文字

適用要件
1.相続開始直前
に被相続人が1人で住んでいて、亡くなった後に空き家となっていること。

別居の子に引き取られて転居した後に亡くなった場合は、相続開始直前に住んでいなかった ということで適用できませんが、老人ホームに入ったことで、相続開始直前にはその家に住んでいなかった という場合は、一定の要件を満たせば適用できる取扱いがあります。

2.家屋は、区分所有建物(マンションなど)ではないこと。

3.売った人が、家屋と敷地を相続したこと。(家屋のみ、敷地のみの相続は対象外)

4.家屋は、昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物であり、それを取り壊して更地にするか、耐震リフォームをした後に売却すること。

令和5年度税制改正によって、令和6年1月1日以後の売却については、
売却した後 翌年2月15日までに取り壊した場合や、耐震リフォームした場合についても適用できるよう改正されました。

5.相続した時から売却するまで未利用であること。

6.相続から3年目の年の12月31日までに売却すること。

7.売却代金は1億円以下であること。

8.売った家屋や敷地について、相続税の取得費加算の特例収用等の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

9.この特例を受けるのが初めてであること。

例えばこの特例の要件に該当する土地を分筆して、今年と翌年の2年にまたがって売却した場合、
今年の売却で適用を受けたなら、来年は適用できません。
同一の被相続人からの相続財産について、1人の相続人ごとに1回しか適用できません。

10.親族などの関係者に売ったものではないこと。

5.まとめ

親から相続した土地を売却する場合の譲渡所得のことや、知っておきたい3つの特例について、説明させて頂きました。

1.譲渡所得
2.居住用財産の軽減税率の特例
3.居住用財産の特別控除の特例
4.空き家譲渡の特例

1の譲渡所得については、相続した土地を売却したときの一般的な説明です。

2の居住用財産の軽減税率の特例3の居住用財産の特別控除の特例については、親と同居していた人がその自宅や敷地を相続した後に売却する場合、適用可能性があります。
同居していたわけですから、相続人にとっても「居住用」というわけです。

4の空き家譲渡の特例は、親と別居していた人が親の自宅や敷地を相続した後に売却する場合、適用可能性があります。
相続人にとっては「居住用」ではないので、2や3の特例は使えません。

これらの特例を使うには、必ず確定申告が必要です。
「居住用財産の特別控除の特例」や「空き家譲渡の特例」を使って3000万円控除した結果、税金がかからないとしても、確定申告は必要ですのでご注意ください。
確定申告に来た人

以上 相続した土地の売却を検討される際の参考になれば幸いです。

6.追記

※当ブログの記事は、投稿日現在の法律に基づいて書いております。
わかりやすくするため詳細を省いていたり、改正や個別的なケースには対応していない場合もありますので、
ご注意ください。