2025年3月2日更新しました!

 

祖父母や両親から、住宅取得のための資金の贈与を受けた場合には、最大で1000万円の贈与について、
贈与税が非課税になる特例があります。

ここではその「住宅取得資金贈与の非課税」という特例についての概要と、
その特例の適用を受けるための「10の要件」や、適用を受ける際の留意事項について、ご説明したいと思います。

1.概要
2.適用要件
3.留意事項
①「小規模宅地等の特例」との関連
②「相続時精算課税」との関連
4.まとめ

1.概要

令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、祖父母や両親から、居住用住宅の新築、購入、増改築等の代金に充てるための住宅取得資金の贈与を受けた場合で一定の要件を満たすときは、
非課税限度額まで、贈与税が非課税になります。

非課税限度額
省エネ等住宅 1000万円
それ以外の住宅 500万円

省エネ等住宅とは、住宅性能証明書などの書類で、省エネ等基準に適合することを証明されたものをいいます。

証明書類の発行については、住宅を購入する不動産会社や建築を依頼した業者等にまずは確認されるのがよいでしょう。

この非課税制度は、暦年課税の場合の基礎控除110万円や、
相続時精算課税の場合の基礎控除110万円・特別控除2500万円併用することができます。

省エネ等住宅(非課税限度額1000万円)の場合でしたら、
暦年課税(基礎控除110万円)では1000万円+110万円=1110万円までが贈与税非課税

相続時精算課税(基礎控除110万円・特別控除2500万円)では
1000万円+110万円+2500万円=3610万円までが贈与税非課税
ということになります。

笑顔のおじさん

非課税限度額は贈与を受けた人ごと の金額ですから、
省エネ等住宅の1000万円の場合で言うと、
祖父から1000万円、祖母から1000万円の贈与があったとき、その合計2000万円が非課税になるわけではありません。
贈与を受けた人ごとに1000万円ですから、
祖父母からもらった計2000万円のうちの1000万円に、非課税特例が適用されます。

もらった2000万円-非課税1000万円=1000万円 ←これが課税価格になります。
その課税価格1000万円からさらに基礎控除110万円を引いて(暦年課税の場合)
贈与税を計算する というわけです。

税

2.適用要件

贈与を受けた人は、贈与者の直系卑属であること。
贈与者の子や孫への贈与が該当します。
配偶者の親からの贈与の場合は、養子縁組をしていない限り、該当しません。

贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること。
令和4年3月31日以前の贈与の場合は、20歳以上であること。

贈与を受けた人は、贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であること。
取得する住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額1000万円以下であること。

平成21年分から令和5年分までの申告で、住宅取得資金贈与の非課税」の適用を受けたことがないこと。

住宅を親族などの関係者から取得していないこと。
親族から購入した住宅や、親族との請負契約による新築・増改築 の場合は、この特例を適用できません。

青い屋根の家

贈与を受けたその全額を充てて、住宅の新築、購入、増改築等をすること
贈与を受けた金額を住宅ローンの返済に充てたり、一部を新居の家具の購入費用に充てたり というのは、この特例の対象外です。

住宅用の家屋だけでなく、その敷地の代金に充てる場合もOKですが、必ず住宅用の家屋を所有する必要があります。
夫婦のうち、妻が親から贈与を受けて敷地を購入し、家屋については夫が住宅ローンで購入した という場合には、
妻は家屋を所有していないので この特例を適用できず、通常の贈与として贈与税を支払うことになります。

贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅の新築、購入、増改築等をすること。
翌年3月15日までに新築工事が終わっていない場合でも、棟上げが終わっている状態であれば、
工事完了予定時期などを記載した書類など一定の書類を提出して、この特例の適用を受けることができます。

建売住宅やマンションの場合は、翌年3月15日までに完成・引渡しが済んでいなければいけません。

取得した住宅の床面積が40㎡以上240㎡以下であり、その床面積2分の1以上が居住用であること。
店舗兼住宅で、居住部分より店舗部分の方が広い場合は適用外 ということになります。

増改築等の場合の要件
●工事費用が100万円以上であること。
●増改築等をした後の床面積が40㎡以上240㎡以下であり、その床面積の2分の1以上が居住用であること。
●工事費用の2分の1以上が、居住用部分の費用であること。
自分が所有して居住している家屋に対する増改築等であること。
●確認済証などにより一定の工事に該当することが証明されていること。

贈与を受けた年の翌年3月15日まに、その家屋に居住すること。
翌年3月15日までに居住開始できない場合には、その事情や居住予定時期等を記載した書類を提出して、
この特例の適用を受けることができますが、
その後、贈与を受けた年の翌年12月31日までに居住していないときには、この特例の適用はできません。
修正申告をして、その分の贈与税を支払うことになります。

3.留意事項

この非課税特例での贈与については、7年内贈与加算の対象にはなりませんから、相続対策としても、メリットの大きい制度ですが、他の制度との関連で、2つの留意事項があります。

①「小規模宅地等の特例」との関連

この非課税特例での贈与を受けて、自分の自宅を所有することによって、
将来 親の相続のときに「小規模宅地等の特例」を適用できるはずだった人が、適用できなくなる といったケースが考えられます。

「小規模宅地等の特例」は、親の自宅を相続した場合に、その自宅敷地の相続税評価額を8割減額できるという相続税の節税効果の大きい制度です。

親と別居の子が適用する場合には、「3年以上 持ち家に住んでいないこと」という要件があります。

賃貸暮らしのままで、将来の親の相続の時に「小規模宅地等の特例」の適用を受けた方がいいのか、それともこの非課税特例での贈与を受けて、自宅を所有した方がいいのか、それぞれの事情に合わせて検討する必要があるかと思います。

②「相続時精算課税」との関連

この非課税特例と相続時精算課税制度は併用できます。
この特例での1000万円と相続時精算課税での基礎控除110万円・特別控除2500万円を併せれば、最高で3610万円が無税で贈与できます。

ですが、相続時精算課税を使って贈与した金額(基礎控除後の金額)は、将来の相続のときには相続財産の計算に加えて、相続税を計算しなければいけません。

それに、いったん相続時精算課税を適用してしまうと、その贈与者からの贈与についてはもう、通常の暦年課税には戻れません。

この非課税特例は相続時精算課税制度と併用できるとはいえ、相続時精算課税の選択については、慎重な判断が必要になります。
考え中のイラスト

4.まとめ

「住宅取得資金贈与の非課税」の概要と適用要件や留意事項について説明させて頂きました。

今のところ令和8年12月31日までの贈与についての時限措置です。

適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申をすることが必要です。

戸籍謄本などの一定の書類を添付した 贈与税の申告書を期限内に税務署に提出しなければ、適用を受けられません。

贈与を受けたのが500万円だから、この特例を使えば贈与税がかからない という場合でも申告書の提出は必須です。申告して初めて適用される特例ですので、ご注意ください。

確定申告

5.追記

※当ブログの記事は、投稿日現在の法律に基づいて書いております。
わかりやすくするため詳細を省いていたり、改正や個別的なケースには対応していない場合もありますので、
ご注意ください。